プロフィール キノコの化学 ヒメマツタケとは アガリクス 学会発表内容

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どんな研究かというとヒメマツタケ子実体の細胞壁を破砕したものを使った実験です。
「細胞壁を破砕する」                                                        
僕らが長年やってきたヒメマツタケの研究では、このキノコに特異的に含まれているβ-(1-6)−D−
グルカン・蛋白複合体という成分が、抗腫瘍効果などで最も高い薬理活性を示すということは動物実
験でわかっていたんですが、これは不溶性画分のため、単なる熱水抽出では取り出せなかったんで
す。実験室では強アルカリを使って、いろんな処理をして抽出しますが、現実にはそんなことはでき
ません。                                                        
 ところが最近、新しい細胞壁破砕法を使うことによって、この成分を比較的簡単に取り出し、しかも
定量化することに成功したんです。それで、細胞壁を破砕したヒメマツタケを使って動物実験を行い、
そのデーターを出したんです。                                                 
     
         
キノコ多糖体の吸収メカニズムとは                                        
・・・キノコ多糖体の吸収を調べるというのは難しい・・・     
βー(1→3)は出来ますよ。でも、本当に難しい。PSK(カワラタケ菌糸体由来のβグルカン蛋白複合
体。製品名はクレスチン)にしても、レンチナン(シイタケ子実体由来のβーグルカン)にしても、あの
定量方法は、培養する時にカーボンをつけて放射性元素の培地に入れ、それをカワラタケやシイタケ
に取り込ませて、そのカーボンを見て体の中にどのくらい入ったかを見るわけです。非放射性活性で
黒く写る部分を見て、体のどこに分布しているかということをね。だから、体に入っているかどうかは分
かるけど、どのくらいの量が入っているかという定量化はできないわけです。
                                           
 ・・・PSKも蛋白多糖複合体・・・                                                     
 
PSKのタンパクは13%、多い時で20%です。ヒメマツタケの場合は42%〜43%を超えています。
タンパクがこれだけ含まれているポリサッカライド系は天然界では珍しいです。 キノコから開発され
た抗ガン剤はこのPSKとレンチナン、シゾフィラン(スエヒロタケ培養液由来のβーグルカン)の3つが
ありますが、吸収に関して言えば、経口薬はPSKだけです。レンチナンのβー(1→3)−D−グルカ
ンは消化管からの吸収が難しいので筋肉注射で投与します。 
                                                 
・・・口から食べるというのが前提の食用キノコとの効果の違い・・                              
一概には言えないが、PSKの経口投与に関して言えば、動物実験で経口投与による毒性試験
はやられているが、抗ガン作用に関する実験は発表が一つあるだけなんです。つまり、サルコー
マ180を移植して、24時間後から、体重1kgに対してPSKを600mg経口投与したとき、50〜60%
の腫瘍抑制があったと、だからこの600mgを基準にして人間に換算して量を決める。最終的には
何らかのルートで消化管から一部は多糖の吸収が行われると思います。PSKの場合、腹腔注射
でやっている場合は10mgとか50mg、最大でも100rです。これが経口となると600mg、それでも
腫瘍の完全消失は認められない。 
                            
                                               

                           
  
・・・三重大学時代と菌類薬理研究所を創ってから、ヒメマツタケの研究で変わったこと・・・               
大学にいた時は、ATOMのようにすごく精製した物質を使いたかったわけですが、しかし退官して
こういう研究所を創って仕事を始めてみると考え方や見方が少し変わってきました。現実に一般の方は
菌糸体(ATOM)のみを飲んでいるわけではないし、ましてβーD−グルカンのみを飲んでるわけではな
い。それによって全ての抗ガン作用を説明できないわけです。特にヒメマツタケの場合は、たくさんの抗
腫瘍活性成分をもっています。
多糖画分もあればステロイド類もあるし、脂質画分もあるわけで何種類ものフラクションをもっているわけ
ですから。
だから、もっと全体を考える必要があるのではないかということで、この頃はヒメマツタケを丸ごとやって
います。
しかし、こういうのはペーパーにはなりません。学会発表ではいいかもしれませんが。しかし、実際に
大事なのはこっちの研究ですから。だから冒頭に記載してある細胞壁破砕とか、あれは現実に近い
方でやったわけです。 
そして現実に確認できたわけですから、これは意味があったと思っています。                   
だから、菌糸体の成分だけとか細胞壁を破砕した子実体の成分だけとかいうのではなくて、子実体の
いいところも使おう、つまりはヒメマツタケを丸ごと使ってそういう全体的な成分を統括して総合薬理作
用を期待しようというのが今の私の研究所の姿勢です。もちろん、個々のひとつひとつの成分について
もきちんとやっていきますが。    
・・・東洋医学的アプローチ・・・                                                       
漢方では複数生薬を使うということが基本になっていますが、現代科学の見方をすれば、ひとつひとつ
の生薬のどういう成分がどういうメカニズムで、どういうところに効くのかという、分析的な西洋の薬理
になってしまっているわけです。漢方の場合は違います。複数生薬が含まれている、しかもひとつの
生薬が多成分系である。      
 そして、その相互作用にこそ妙味もあるということです。やはり、実際にヒメマツタケを使われる方々
の立場に立ったら、それもやっておかなければいけないなと、この頃そうい方向に移行してきています。                 
 

          
@抗腫瘍活性を示すβーDグルカンは3本鎖右巻きヘリックス(螺旋)構造を持つ               
 これまでのキノコの子実体、菌糸体、培地の生産物から単離され、化学構造が明確にされた抗腫瘍
 活性多糖は比施光度[α]D+80°〜−20°、平均分子量(MW)50万〜200万のβー(1→3)−Dグ
 ルコピラナンであり、βー(1→6)−グルコシル分岐鎖を持つこが特徴である。 NMR解析やX線解
 析によって、抗腫瘍活性多糖の立体構造が研究された結果、活性を示すβーD−グルカンは、3本
 鎖右巻きヘリックス構造をもつことが明らかにされている。 抗腫瘍活性の強弱は、これらβーD−
 グルカンの分子量、分岐度、水に対する溶解性などによって左右される。またβーD−グルカンの
 ような宿主介在性抗腫瘍剤は、薬理活性の面においても用量依存性の効果が認められず、大量投
 与は必ずしも有効でない。従って、至適投与量もキノコの種類によって大きく異なる。
AすべてのβーD−グルカンが抗腫瘍活性をしめすものではない                          
 キノコに含まれているβーD−グルカンのすべてが抗腫瘍活性を示すものではなく、分子量、分岐
 度とその形成、すなわちβー(1→3)結合の主鎖中へのβー(1→6)結合のつながり方、水に対する
 溶解性などにより、抗腫瘍活性の強弱が発現してくるものと思われる。茯苓(マツホドの菌核)や
 ヤナギマツタケ、海藻の多糖ラミナランから得られたβーD−グルカンは、およびカラス麦の葉、大麦、
 ライ麦、小麦の茎から分離されたβーD−グルカンは抗腫瘍活性を示さない。しかし、ブクリョウ由来
 の多糖をスミス分解したパキマランや、尿素処理したUーパキマンは強い活性を示す。また、ヤナギ
 マツタケ由来の多糖をカルボキシメチル化すると顕著な活性がみられる。
 このようにグルカンの構造と抗腫瘍活性の発現には、興味ある事実が貯蓄されていきている。        
Bキノコに含まれる抗腫瘍活性成分はβーD−グルカンのみではない                   
 キノコに含まれる抗腫瘍活性成分は、βーD−グルカンのみではなく、ヘテログルカン、ペプチド
 グルカン、プロテオグルカン、キチン質、レクチン、テルペノイド、ステロイド類、核酸(RNA)複合体、
 食物繊維(不消化性多糖)、糖質成分などにも活性の有ることが見つけられている。中でもヒメマツ
 タケ子実体からは、顕著な抗腫瘍性活性を示す分子量約1万の低分子のRNAが分離された。この
 RNAは、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルの通常の塩基のほかに修飾塩基を含み、タンパク、
 リン酸とともに構成糖として、リボースのほかに少量のグルコース、ガラクトース、マンノースなどを
 含むRNA複合体である。キノコ由来の核酸にBRM様の抗腫瘍活性が確認されたことは注目される。     
CβーD−グルカンの抗腫瘍機作                                          
 βーD−グルカンの抗腫瘍機作は、生体の免疫機能を賦活することにより腫瘍(癌)の増殖を抑制
 もしくは排除しようとする免疫療法剤(免疫賦活剤・免疫増強剤・免疫調整(節)剤)に属するものであ
 る。この点が、従来の直接的な細胞毒性作用を示す化学療法剤とは、本質的に異なる。すなわち、
 抗腫瘍性活性を示す多糖のひとつである。βーD−グルカンは、その作用機作から生物学的応答
 調整剤(Biological Response Modifiers:BRM)の1種に位置づけられる。


      
              

姫マツタケ 学名 Agaricus blazei Murrill (アガリクス・ブラゼイ・ムリル)
和名 ヒメマツタケ
ABWE ヒメマツタケキノコの熱水抽出エキス
Agaricus blazei Murrill Water extract    
ABPS ヒメマツタケキノコ由来多糖体
Agaricus blazei Murrill Polysaccharrides
ATOM  ヒメマツタケ菌糸体由来グルコマンナン
Antitumor Organic Substance Mie
FV-2-b ベーター(1-6)Dグルカンの活性成分
CWC-ABWE 細胞壁破砕ヒメマツタケ茸熱水抽出エキス
Cell Wall Crushing-ABWE
菌糸体 キノコ(地下部分、根に相当する部分)
AB−P ヒメマツタケキノコ由来多糖
AB−FP  ヒメマツタケ菌糸体の培養ろ液からの多糖体
種菌名 1977年分画 ITO-S株(登録)
商標登録名 1999年、姫(ヒメ)マツタケ岩出101株(岩出菌学研究所)
アガリクス茸 アガリクス茸は地球上に固有名詞(キノコの名前)としては存在しない。
アガリクス(Agaricus)とは日本において37種類、欧州において70種類以上、
中南米で数百種類以上存在しているハラタケ属。  
キノコの総称。                  
                       
 



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